WebまたはLINEよりご予約の上、問診のご協力もお願いいたします。
お問合せはお電話よりお願いいたします。
注意欠如・多動症
(ADHD)とは
ADHDは、注意欠如・多動症と訳され、「Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder」の省略形です。「物事に集中できない不注意」「考えずにすぐ行動する衝動性」「動かずにいることができない多動性」などの特徴があり、7歳を迎えないうちにそれらの特徴が現れます。
また、この中の多動性については成長に伴って徐々に改善していく場合が多いと言われています。
大人のADHDとは
ADHDは衝動性や多動、落ち着きのなさ、気の短さ、注意散漫、不注意などの特徴があり、子どものうちに周りが指摘することが多いです。しかし、不注意優勢型ADHDの場合は多動性が現れにくいため、周りの方がその子の個性と思い、そのまま大人になる場合があります。そうなると、社会人になってから職場で適応できず、二次的に不安障害やうつ病などが現れやすくなります。このように大人のADHDは、子どもの頃からあるADHD症状を大人になってから認識することです。
大人のADHDは、患者様の工夫と周りの方の理解によって、社会にしっかりと適応できます。また、社会的に成功している方も少なくありません。
ADHDの症状
ADHDの主な症状は次の3つです。「物事に集中できず、物をなくしやすく忘れ物が多い不注意」「順番を待てず、何も考えずすぐ行動する衝動性」「動かずにいることができない多動性」です。
次のような症状が、具体的な例として考えられます。
「不注意」の症状例
- 周囲の環境によって集中力が途切れやすく、関係のないことを考えてしまう
- 興味を持ったことや好きなことには高い集中力を発揮するが、物事の切り替えができない
- 期限や約束を忘れてしまう、仕事や勉強で使うものをなくしやすい
- 繰り返し同じことができない、単純作業をするのが難しい
- 人の話を聞いていないように思われる、話しかけても気づかないことが多い
- 気が散りやすく、集中力や注意力を長く維持できない
- 整理整頓、スケジュール管理や時間管理ができない
- 仕事や勉強で、細部に注意を向けることができず、注意不足による失敗や間違いをよくしてしまう
「衝動性」の症状例
- 順番を待つことができず、人の前に割り込んでしまう
- 人からの質問の途中で突然答えたり、人の話に割り込んで話してしまったりする
- 車の運転において、無謀な追い越しを何度も行い、必要以上に速いスピードで走る
- 自分の言動を我慢することができず、人の話や意見を聞くことに気が回らない
- 持ち主の許可を得ていないにもかかわらす、勝手に人の物を使ってしまう
「多動性」の症状例
- 同じ場所に留まれない人だと思われており、落ち着きがないとよく言われる
- 会議中や授業中など、長い時間同じ場所に静止していられず、手遊びをしたり立ち歩いたりする
- 周囲の方と協力して何かをするのが難しく、物事にのめり込み過ぎて度を超したり、周囲を気にしなくなったりする
- 話し始めると止められない、自分だけが話して人の話を聞かない
ADHDの原因
ADHDの原因は明確には判明していませんが、現在までの研究によると衝動性を制御する大脳基底核と集中力や注意力を制御する前頭葉がうまく機能していないと言われています。その要因の1つに、前頭葉でのノルアドレナリンやドーパミンなどが不十分になっていることが考えられています。すなわち、ADHDは生まれつきのものであり、生育状況などが原因ではないと考えられています。
ADHDの診断
大人のADHDは、診断にあたって幼少期や学童期の情報が大切です。母子手帳や通知表、両親からの情報が有用です。また周囲の方のお話も役に立ちますので、配偶者や職場の方からのお話も参考になります。
診察では、まず幼少期や学童期の状況と現状についてお聞きします。さらに血液検査や心理検査を実施し、全般的な情報に基づいて診断します。
ADHDは、境界性パーソナリティ障害や不安障害、統合失調症などと似ているため、診断までに時間がかかる場合もあります。専門医に診察を受けるようにしましょう。
ADHDの診療
大人のADHDの症状は、働き方や普段の生活を改善させ、周りの方との関係を工夫することで軽減していきます。専門医の指導の下で治療を進めましょう。また、薬物療法も有効です。お薬は、コンサータやストラテラなどを用います。いずれも脳内のノルアドレナリンやドーパミンなどの欠乏を補って前頭葉の機能を改善させることで、ADHDの症状を改善させます。