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うつ病とは
うつ病とは、心理的、社会的ストレスや身体的問題などが原因で、脳の機能のバランスが崩れた状態です。脳のエネルギーが低下した状態であり、国内では、生涯でおよそ15人に1人がうつ病になると考えられており、過去1年間では約50人に1人がうつ病を経験するなど、誰でも発症する可能性のある疾患です。うつ病にかかっている方の1/4程度が医師に相談していますが、残りの3/4は症状がつらく悩んでいても病気であると気づかなかったり、医療機関を受診しづらかったりして、医療を受けていません。
うつ病の症状
うつ病では様々な症状が現れます。躁状態とうつ状態を反復する双極性障害という疾患もあります。各々の疾患やうつ病の重症度により特有の治療法があるため、専門家に診断してもらうことが重要です。症状の現れ方は、重症度によって以下のように分けられます。
軽症
軽症は、何となく疲れを感じて何事にもやる気が出ない状態ですが、本人はただ疲れているだけだと思い、そのまま何も対処せず過ごします。仕事や日常生活で人とのコミュニケーションに問題があっても、本人に自覚はなく、周囲の方も何かおかしいと感じない場合もあります。また、以下のような精神症状が現れることがあります。
- 口数が少なくなる
- 無関心になる
- 外見や服装に無頓着になる
- 気分が落ち込む
- 飲酒量が増える
- 焦りや不安、イライラ感がある
- 物事を悲観的に考える
- 仕事に集中できず、ミスが増加する
中等度
次第にエネルギーが湧いてこなくなり、しっかり眠れなくなる場合もあります。仕事がうまく回らず、周りの方も何かおかしいと気づくことが多くなります。患者様自身は頑張り続けますが、それでも仕事がうまく回らないことをご自身で責める場合もあります。中等度では、次のような身体症状が現れる場合もあります。
- 息切れ
- 動悸
- 肩こり
- 耳鳴り
- 性欲の減少
- 生理不順
- 頭痛
- めまい
- お酒の量の増加
- 下痢や便秘
- 食欲低下
- 過眠や不眠などの睡眠障害
重度
仕事や日常生活で、人とのコミュニケーションに支障をきたします。「自分が存在しなくなれば良い」など、希死念慮が現れることもあり、入院が必要になる場合もあります。軽度のうちに、早く気づくことが大切です。
うつ病の原因
うつ病は、脳の中の感情や意欲に関わる部分に、何らかの問題が生じることで発症すると考えられており、精神的ストレスや身体的ストレスが関与していると言われていますが、はっきりとは分かっていません。つらい経験だけでなく、結婚や就職などの慶事でも、うつ病を引き起こすことがあります。さらに、妊娠や更年期などが発症の引き金となることもあります。そのままにせず少しでも不調を感じたら医療機関を受診することが大切です。
神経伝達物質の
セロトニンについて
うつ病の原因の多くは明確には分かりませんが、セロトニンという神経伝達物質がうつ病の発症に関与していることは判明しています。セロトニンは脳内の神経伝達物質の1つで、ノルアドレナリンやドーパミンを制御して精神を安定させる作用があります。
セロトニンは、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから合成され、脳内の視床下部や大脳基底核などに多く存在します。セロトニンの分泌が減少すると、ドーパミンやノルアドレナリンをうまく制御できず、うつ症状や不安などの精神症状が現れたり、攻撃的になったりするとされています。セロトニンの分泌を増やすことがうつ病を治療するのに大切です。
うつ病の診断
うつ病は以下のような項目を用いて診断します。診断に際しては、患者様の自覚症状に限らず、ご家族など周囲の方からのお話も重要になります。
- 疲労感があり、気力が低下する
- 思考力や集中力が低下する、決断できない
- 抑うつ気分がある
- 興味や喜びが顕著に低下する
- 過眠や不眠
- 食欲増加や食欲減退、体重増加や体重減少
- 不適切で過剰な罪責感、無価値観
- 自殺念慮を繰り返す、死への反復的思考、
自殺の計画を周到に立てる - 精神運動焦燥または制止
これらの9項目のうち5項目以上、もしくは興味や喜びの顕著な低下、または中核的な症状である抑うつ気分のうちいずれか1つに該当すれば、うつ病と診断されます。診断基準では、これらの症状が、2週間以上毎日のように、ほぼ1日中見られることが基準であると定められています。
患者様の病状が特に不安定になると、うまく考えがまとまらない、ご自分の状況を整理して伝えられないなどの精神運動抑制という症状によって、ご自分の症状を適切に言い表せない場合もあります。その場合にはご家族などからもお話を伺いながら診察を進めてまいります。
うつ病の治療
基本的なうつ病の治療方法は「休養」「薬物療法」「精神療法」です。
重度のうつ病など、入院が必要と判断される場合には、医療機関をご紹介いたします。
当院では新しいうつ病の治療法である「TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)」も導入しています。
休養
うつ病の治療では、体と心を十分に休ませることが一番重要です。
ご自宅で療養される場合、可能な限り普段通りの生活を送ることが望ましいです。しかし、うつ病の場合は「抑うつ気分」であるため、気力がなくなり、疲労感や倦怠感を感じています。気の進まないことは無理してやらず、ご自宅でゆっくり過ごすことをお勧めします。時折、散歩など体に負担の少ない運動をすると気分転換ができます。
休養する際の環境には配慮が必要です。もしご自宅でゆっくり休養できないときは、しっかり休養するために入院も選択肢になります。当院には入院設備がございませんので、必要に応じて入院可能な医療機関をご案内いたします。
薬物療法
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)やNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)、S-RIM(セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節作用)などの抗うつ薬を患者様の病状に合わせて選択します。
精神療法
精神療法には、対人関係療法や認知行動療法などがあります。心理カウンセラーが、患者様のお悩みや不安、症状などをお伺いし、コミュニケーションを取りながら、患者様とともにお悩みを解決する方法を考えます。
精神療法は他の治療法と併用して行い、社会適応能力や人間関係を向上させるためにカウンセリングを通してサポートしていきます。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)
TMS治療は、薬物療法に抵抗感を持つ方、抗うつ薬で効果がみられない方、抗うつ薬の副作用により治療継続が難しい方などに対する新しいうつ病治療として、日本でも広がってきています。
早い方の場合は1ヶ月半程で効果がみられる方もおり、薬物療法のような副作用も起こりにくいため、体に負担が少ない治療法です。既にアメリカでは一般的な治療法であり、日本でも将来的に期待されている新しい治療法です。